電力会社、新設火力の稼働を前倒し

電力各社は、新設の火力発電所の稼働を前倒しする

原子力発電所の、停止の長期化・高コスト化
円安による燃料費コストの増加
に対応するためだ。

原発は、新安全基準?の導入によって高コスト化が避けられず、再稼働の見通しも不透明。

その影響で代替火力として石炭や液化天然ガス(LNG)の需要が急拡大し、
高コストの石油火力の再稼働も始まっている。

高コスト化と供給力不足を解消するため、
新設の高効率の火力発電所を稼働を速めなければならなくなった。

東京電力は、
 広野火力発電所(福島県広野町)6号機(60万KW)、
 常陸那珂火力発電所(茨城県東海村)2号機(100万KW)
 について
 2013年12月運転開始予定を繰り上げ、6月には事実上の営業運転を開始する。

 この2機は、石炭火力であるが熱出力45%以上の高効率である。

 鹿島火力発電所(茨城県神栖市)7号機は、
 発電効率が高く環境負荷物質の排出が少ないコンバインドサイクル方式に切り替え
 出力を80万kw⇒124万kwに増強する。(工事終了は2014年2月予定)

こうした対応により東京電力の今夏の電力供給は3%程度の上乗せとなり、
燃料費コストは100億円超の削減となる見通しだ。

関西電力は、
姫路第2火力発電所(兵庫県姫路市)の6基をコンバインドサイクル方式への変更を
2~4カ月前倒しする。(前倒し効果は140億円)

東北電力は、
被災で運転停止している原町火力発電所(福島県南相馬市)の2基の復旧を急ぎ、
復旧時期を、今夏予定から3~4月の運転再開に前倒しする。(150億円程度の収支改善効果)

円安による燃料コストの急増

安倍内閣が推進する金融緩和策による円安も、
電力大手の収益悪化要因となっている。

対ドルで1円の円安になると
東京電力330億円、中部電力137億円、関西電力139億円
の収益悪化要因となる。
(1円の円安で、電力10社合計で、年間800億円の影響が出る)

電力各社の今期の想定為替レートは1ドル=80円前後が多いが
1月25日の円相場は、1ドル=90円54~56銭。

この為替水準が続くと仮定すると1~3月期
10社計で1800~2000億円の収益悪化要因となる計算だ。

電力各社は、為替変動に備えたヘッジ契約をほとんどしておらず、
燃料費増加分を電気料金に反映できる「燃料費調整制度」は
原発から火力への転換分を料金転嫁できない仕組みとなっている。

原発停止の長期化・高コスト化と、円安によって
2012年4~9月期の燃料費は、これまでに比べ倍増している。

電力大手は、供給力不足、燃料コスト増、電力自由化に直面し
新たな対応がさらに求められる状況にある。

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