政府の温室効果ガス削減目標
政府は、国内の温暖化ガス排出量を「2030年までに13年比で26%削減する」という新しい目標案を策定した。
6月7日にドイツで始まるG7で、表明する予定。
各国は今、年末に開催される温暖化に関する国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向け、新しい目標の設定を進めている。
《各国の目標》
●米国 ・・・25年までに26~28%減(2005年比)
●欧州連合(EU)・・・30年までに40%減(1990年比)
●日本 ・・・30年までに26%減(2013年比)
欧米の目標を日本と同じ2013年基準で比較すると
・米国は18~21%減、
・EUは24%減
となる。
これまで日本は2005年比で目標を設定してきたが、「欧米と遜色ない水準」に見せるために、2013年を基準に設定し直している。
福島第一原発の事故後、原発の稼働が止まり、火力に比重が移ったことでCO2など温室効果ガス排出量が増大した2013年を基準として削減率を設定することは
誰が見ても簡単にわかる粉飾的な基準設定と言える。
もっとも各国ともに、自分たちに一番都合のいい基準年を設定しているのであるから
ある意味どっちもどっちともいえなくもない。
ただし、1990年を基準にして今回の目標値を比較すると
・EU ・・・2030年までに「40%減」
・日本 ・・・2030年までに「17%減」
となり、あまりに低い、という批判が起こることは容易に想像できる。
原発復活の口実に?
26%減の内訳は
・電源構成(ベストミックス)の見直しと省エネルギーの強化⇒21.9%分
・森林整備など⇒2.6%分
・代替フロン対策⇒1.5%分
となっている。
電源構成の見直し内容は
●原子力・・・20~22%
●再生可能エネルギー・・・22~24%
となっている。
(石炭火力、天然ガス火力は減少させる)
問題は、2013年の電源別発電電力構成で、わずか1%の原子力を
20~22%まで大幅に引き上げること。
古くなった原発の利用期間を大幅に増やすなど、かなり強引な内容が含まれている。
一方で、再生可能エネルギー比率の22~24%という数字は、
そのポテンシャルからいってあまりに低い目標だ。
(最低でも30%台の目標を掲げるべきだろう)
これではまるで、温暖化対策を口実に、原発復活やむなし、という方向に誘導しているかのようだ。