石炭火力発電所をめぐり、環境省と経産省が対立へ?
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環境省は、山口県宇部市で計画されている石炭火力発電所について、
「二酸化炭素(CO2)削減の観点から認めがたい」との意見書を経済産業省に提出した。
この石炭火力発電所は、電源開発や大阪ガスなどが出資する事業者が計画しているもの。
(総出力120万キロワット規模)
政府は、二酸化炭素の排出について、
2030年までに26%削減(2013年比)することを決め、ドイツで開かれたサミット(先進7カ国首脳会議)でもこの削減目標を説明している。
(⇒政府の温室効果ガス削減目標)
しかし、福島第一原発事故後の原発停止により、国内各地で石炭火力発電所の計画が相次ぎ、
総出力およそ4000万キロワット(平成25年)の石炭火力発電は、
現時点で計画されている25か所の発電所が建設されれば、さらに1400万キロワット程度増えることになる。
つまりこれは、二酸化炭素排出量の多い石炭火力が、今後3割以上増えてしまうことを意味する。
環境省としては、このまま歯止めなく石炭火力を増やしてゆくことを容認できない。
経産省は、業界の行動計画策定を促すのみ
環境省の意見表明を受けた宮沢経済産業大臣は
「電力業界で二酸化炭素の排出削減の枠組みが構築されていない現段階では認められないという意見になったのだと思う。個別事業についての実施を否定されたものではないと理解をしている」と述べた。
つまり、電力業界としての二酸化炭素削減計画が明確になれば、環境省も石炭火力増設を容認するだろう、との見立てだ。
大手電力や新規参入事業者など19社によるCO2削減の行動計画の議論は
今年3月にようやく始まったばかり。
経産省としては、早期に電力業界の行動計画を策定させ、環境省の理解を得て
石炭火力増設計画を推進しようとしている。
けれども、石炭火力増加は
温室効果ガス削減計画全体の見直しを必要とするものとなるため、
環境省も簡単に容認に転換できないだろう。
今後、環境省と経産省は対立的な立場に立ち、
政府としての方向性が定まらない可能性さえある。