シェールガス開発、欧州でも第一歩?
ウクライナ、シェールガスの大規模開発
ウクライナ政府は、国内のシェールガス田(ユゾフスキー・ガス田)開発で
英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと合意した。(1月24日)
ウクライナ政府は、2018年から、年間70億~200億立方メートルの生産を計画している。
(ウクライナの年間ガス消費量の4割に相当)
投資額は100億ドル(9000億円)を超え、
欧州における過去最大のシェールガス開発となる。
ウクライナ政府とロイヤル・ダッチ・シェルは生産分与協定を締結し
期間は50年、シェルは利益の5割を取得する。
ロシア-ウクライナ-欧州
ウクライナのシェールガス埋蔵量は約1兆2000億立方メートルであり、
これは欧州で3番目の埋蔵量となる。
同国は現在、国内で消費する天然ガスの6割をロシアから輸入しているが
ウクライナ-ロシアの両国は、ガス料金をめぐって度々対立し、
ロシアは2006年以降、2度にわたってウクライナ向けのガス輸出を一時停止。
パイプラインでウクライナ経由でのロシア産ガスを輸入している欧州にも深刻な影響をもたらした。
ウクライナはEU(欧州連合)との経済統合路線を進めようとしているが
ロシアとの関係がネックとなってきた。
シェールガス開発が軌道に乗れば、ウクライナの外交方針に影響を与え、
欧州の資源確保の多様化にもつながることになる。
欧州でのシェールガス開発の今後
「シェールガス革命」は欧州にも広がるのだろうか?
現在、ポーランド、ハンガリー、ルーマニアなど中東欧で調査・開発が進んでいるが
様々な課題がある。
「水圧破砕法」は、大量の水と化学薬品を使い、
地下水の汚染や地震誘発などを引き起こす可能性が指摘されている。
米国ではいわば見切り発車の形で量産化に向け舵が切られたが、
欧州では厳しい環境規制が開発を阻む可能性が高い。
フランスのオランド大統領は「水圧破砕法」によるガス田開発を認めない方針であり、
環境保護運動が盛んなドイツも慎重姿勢を崩していない。
また、ガス輸送パイプラインなどのインフラ整備には
巨額の費用を要する。
ロシアは、国営会社を通じて中東欧のパイプライン会社への出資を強化して
欧州各国が進めようとしている「エネルギーのロシア依存脱却」を阻もうとしている。
シェールガス開発がもたらすエネルギー革命の魅惑と
開発・生産に伴う環境破壊の懸念。
欧州での見通しがはっきりするのは、まだ先のことになるだろう。