環境問題と地球温暖化TOP > 地球温暖化 > 京都議定書の「途上国支援」

京都議定書の「途上国支援」

京都議定書における「途上国・新興国の支援」の考え方、基本ルールは以下。

  • 途上国は、先進国に比べて地球温暖化の被害を大きく受けやすい
  • 途上国の多くが、温暖化対策行う資金・技術において不足している
  • そこで議定書は途上国支援を、先進国に義務付けている
  • 途上国支援のために3つの「基金」が運営されている
  • 森林対策は、CDMを通じた目標達成の手段として限定的に認められた

産業革命以降、膨大な量の温室効果ガスを排出し続けたことで
地球温暖化という問題を発生させたことに主要な責任を負うべきは先進国である。

国別・1人当たりの温暖化ガス排出量

ツバル、バングラデシュなど温暖化の被害を受ける国は途上国・新興国に多く、
異常気象による洪水(疫病蔓延・インフラ破壊)、熱波などの被害への対応策は
既に切実な問題となりつつある。

また、途上国の多くは、
資金力・技術力が不足しており、十分な温暖化対策を取ることができない。

そこで気候変動枠組条約において、環境技術の移転、資金援助などが定められ、
京都議定書は「先進国にのみ」数値目標を課し、
クリーン開発メカニズムで途上国への技術・資金移転を促す仕組みを導入した。

ただし、一部の途上国の排出量は、人口増と経済発展により急増しており、
今後の排出量の大きな割合を途上国が占めて行くと考えられる。

次の課題は、途上国支援を拡大し、実効性のある支援体制を強化するとともに
途上国を含めた世界全体で温暖化対策を進める枠組みをいかにつくるかにあるといえる。

途上国支援の3基金

途上国の温暖化対策のための資金供与・技術援助のために以下の3基金がある。
 ・特別気候変動基金
 ・後発開発途上国基金
 ・適応基金

この3基金は、京都議定書の運用ルールを定めた「マラケシュ合意」において設立されたが、
その資金は全く不十分な水準のままである。
(特別気候変動基金は1億ドル程度、後発開発途上国基金は2億ドルのレベルである)

先進国は、追加的な資金を供出し、運用を拡大して行くことが求められている。

途上国の森林減少

途上国の森林減少は、世界のCO2排出量の2割を占めている

世界の森林面積の増減

特に著しい森林減少で問題視されているのが、
ブラジル(-310万hr/年)、インドネシア(-180万hr/年)である。

京都議定書における途上国に関する森林対策は、
CDM(クリーン開発メカニズム)を通じた先進国の目標達成手段としてのみ限定的に認められている。

ただし、途上国の森林減少が二酸化炭素排出の大きな割合を占めることの重要性が認識され、
2013年以降の議定書第2約束期間からは新たに対応すべき分野として加えられることになった。

今後は、これまで認められていなかった湿地や農地などをどのように対象化するかなどの方法論を含め、
吸収源対策の運用方法等が議論されて行くことになる。

関連ページ

京都議定書
京都議定書の「遵守制度」
COP18、京都議定書8年延長
南極の海氷拡大と温暖化

地球温暖化top
環境問題と地球温暖化top