石炭火力を転用、バイオマス発電へ
新電力(特定規模電気事業者)のイ―レックスは、
石炭火力発電所を買収・改造してバイオマス発電事業に参入する。
買収するのは2010年に生産を中止した太平洋セメントの土佐工場の遊休設備。
石炭を主燃料として発電した電力でセメント生産をしていた設備だ。
イ―レックスは、主にコンベアーなどなどの燃料供給設備を改造して
バイオマスでも高効率で発電できるようにする。
総投資額は40億円規模。
発電能力は20万kw。
7月に商業運転を開始する予定。
バイオマス発電は、再生可能エネルギーの全量買い取り制度(固定価格買取制度)の対象であり、
買取価格は13.65~40.95円/1kw時(買取期間は20年。価格は燃料により異なる)。
この売電収入と電力会社に支払われる交付金により
約10年での投資回収を目指している。
石炭火力発電所で広く採用されている「循環流動層ボイラー」は、バイオマス発電にも適しており、
バイオマス発電所を新設する場合に比べ、工期も、コストも半分以下に抑えることができる。
発電コストは石炭より高くなるが
再生可能エネルギー買取制度などを加味すると採算が合う。
インドネシア、マレーシア、ブルネイの3カ国からヤシ殻を輸入し
バイオマス発電の燃料として使う。
バイオマス発電と石炭火力の接点
バイオマス発電への転用が可能な石炭火力発電所は、国内だけでも90基前後ある。
また、企業が自家発電用に保有している中小規模の発電設備は
今後も使用を続けるには環境対策設備の設置などのコストがかかる場合が多い。
採算面でプラスになる見通しが持てれば
バイオマスへの転換も有力な選択肢になってくる。
イ―レックスの、石炭火力からバイオマス発電への転換事業は
その先駆けとして注目される。