宇宙太陽光発電へ、実証衛星
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、
「宇宙太陽光発電」の実証衛星を2017年度に打ち上げる計画を発表した。
宇宙太陽光発電とは、
宇宙空間に設置した太陽光パネルで電気をつくり、マイクロ波に変換して地上に送り、
地上で再び電気に変換して使用するシステム。
実証衛星の重量は400kg。
発電能力は2kw。
衛星は、地上から370kmの軌道を回ることになっている。
衛星の軌道上は、プラズマ状態(原子や分子から電子が分離した状態)となっているため
マイクロ波がプラズマと干渉せず地上にきちんと届くか実証衛星により検証する。
政府は「宇宙基本計画」(2013~2017年度)に宇宙太陽光発電の推進を盛り込み、
これを受けた形でJAXAが実証衛星の打ち上げ計画目標を設定した。
宇宙太陽光発電のメリットと課題
宇宙太陽光発電にはメリットと課題がある。
【メリット】
- 地上での太陽光発電と違い、24時間発電が可能。
- 発電量は、最大で地上の10倍になる。
- 宇宙空間への設置のため、大容量のベース電源として期待できる。
【デメリット・課題】
- 衛星打ち上げコスト
- 航空機や電子機器などへのマイクロ波の影響
- 生物・生態系への影響
- 軽量・高性能アンテナ、高効率の太陽電池の必要
- 送電ロスの発生
つまり、宇宙太陽光発電は、大容量発電が期待される一方で
コストと安全性において課題が山積しているといえる。
政府は10~20年後をめどに実用化することを目標に掲げているが
これからのエネルギー事情の変化、再生可能エネルギー発展の見通しともに
大きな変動要因を抱えている。
100万kwの発電能力を持つ衛星1機のコストは1兆2000億円。
2.5km四方の太陽光パネルを大気圏外に設置するという壮大な計画は
果たして実現可能かどうか?
宇宙太陽光発電においてパイオニアの立場に位置する日本の計画に、世界の注目が集まっている。