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南極の温暖化
南極大陸の面積は1万4000㎢(日本の国土面積の37倍)。
そのほとんどが「南極氷床」(氷床の平均標高は2000m)におおわれている。
南極氷床の氷の量は、全世界の淡水の70%を占め、
もしそのすべてが融解することになれば、
世界の海水面を60m上昇させることになる。
南極半島の「棚氷」の急激な崩壊
地球温暖化と言っても、気温上昇が一様に起っているわけではなく地域差がある。
南極においても、東南極ではこの50年間、めだった気温の変化は見られないのに対し、西南極、とくに「南極半島」では著しい気温の上昇がみられる。
現在、世界で気温上昇が著しい地域は3か所あり、
「シベリア」、「アラスカ~カナダ北西部」、そして「南極半島」である。
(米オハイオ州立大学・バード極地観測センターの研究によれば、
南極半島を含む西南極の1958~2010年の気温「上昇」は、2.4℃である。
これは、同期間での世界平均気温上昇の3倍、ということになる。)
この急激な温暖化の影響で、南極半島の棚氷が融解(崩壊)が進んでいる。
(「棚氷」は、陸上の氷床が海に押し出され、陸上から連結して洋上にある氷)
南極半島の東岸には、ラーセンA、ラーセンB、ラーセンCと呼ばれる3つの棚氷がある(あった)。
しかし、2000年以上前から存在していたと推定される「ラーセンA 棚氷」は、
1995年の1月に一気に崩壊してしまった。
1万2000年の歴史をもつだろうと推定される「ラーセンB 棚氷」も
1995年から崩壊が始まり、2002年には残存していた半分が一気に崩壊、
1995年には1万1512㎢あったラーセンBは、現在 1670㎢にまで縮小、
17年間で85%が崩壊した。
(ラーセンC も融解が始まっており、今後10年で崩壊すると考えられている)
南極の「海氷」の増大
南極海の「海氷」(海に浮かぶ氷)は、過去30年間で約1割「増加」している。
(海氷面積)
この一見奇妙な現象も、温暖化によるものである。
温暖化の影響により、南極海水温度が上昇しており、それが南極での「降雪」増大をもたらしている。
そのため、比較的暖かい深層水が上昇できなくなり、海氷面積だけは広がる形となっている。
(詳しくは、⇒「南極で海氷が増大する理由」をご参照ください。)
ただし、薄く、もろい1年氷ばかりが増え、
かつては40%以上を占めていた硬く、溶けにくい5年以上の多年氷は、5%に急減している。
今後さらに温暖化が進み、「降雪の増大」が「降雨」の増大に変化すれば、
南極海氷は一気に減少、消滅して行くと考えられているのである。
ペンギンの減少と絶滅の危機
急激な気温上昇に見舞われている「西南極」では
ペンギンの個体数が急激に減っている。
米国海洋大気庁・南極生態系研究チームの調査研究によれば、
研究用のタグを付けた赤ちゃんペンギンのうち、2~4年後に繁殖地に戻ってきたのは1970年代に40~50%だったのが、近年は10%程度にまで激減している。
南極全体でみれば「海氷」面積は拡大しているが、
西南極では冬場でも海氷の形成が遅れ、
ペンギンの主食であるオキアミは、その影響を受けて、近年38~85%も減少。
オキアミ減少がペンギン個体数減少の元凶であると考えられており、
西南極に生息するマカロニペンギン、ヒゲペンギンなどは絶滅の危険が高いとされている。
地球温暖化の影響は、すでに南極においても始まっており、
これからさらに加速度を増して行くことになる。
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☆京都議定書
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