原発の新基準の原案

原子力規制委員会は、原子力発電の新たな安全基準作りに着手しているが
その原案が明らかになった。

1月11日に新基準の議論を再開し、1月末にその骨子を公表。
一般の意見公募を経て、7月に新基準を決定する見通し。

原発再稼働の審査は、その後に行われる。

新基準は、福島第一原発事故を教訓に
「あらゆる過酷な事故は起きうる」との認識を基に
津波、地震、航空機墜落、テロなどを考慮した厳しいものとなる。

現時点で明らかになっている新安全基準の主な内容は以下。

● 非常用冷却施設
テロ、航空機衝突などで原発が破壊され、通常の冷却装置が機能を失った場合においても、
別の場所で冷却システムが働き、原子炉の暴走を止める施設と仕組み。
(原子炉建屋から100m程度離れた場所に設置し、原子炉と同時に壊れないようにする)

● フィルター付き排気設備
原子炉建屋から離れた場所にフィルター付きの排気設備の設置を義務付け、
原発事故時に放射性物質を除きながら格納容器内の圧力を下げるシステム。
(福島原発事故ではベントによって大量の放射性物質が排出された。
 万一、メルトダウン・炉心溶融が起った場合でも外部の放射能汚染を抑えられる)

● 防波堤、防水扉
巨大津波に対応するため、原発ごとに「基準津波」を設定し、
防波堤、防水扉を整備する。

● 非常用電源、放水砲
高台に非常用電源、放水砲などを設置する。

● 耐震性・耐火性の確保
耐震性の強化(活断層が新たに見つかった場合は耐震補強工事が必要となる)、
非常用配管の整備、耐火性の電源ケーブル、など

原発再稼働への影響

これらの新基準を満たすためには、
原発1基につき数百億円という莫大な費用がかかる可能性がある。

原発は、稼働が「最長で40年」という法律上の規制があるため、
すでに運転期間30年超の古い原発では費用回収はとても見込めず、
原発の廃炉が進むと見込まれる。

原発再稼働の審査は7月以降に始めることとなっており、
九州電力・玄海原発や四国電力・伊方原発などが候補に上がっている。

原子力規制委員会は、設置等に時間を要する一部設備については「猶予期間」を設け、
安全強化計画を策定・提示すれば再稼働を認める余地があることを示唆いている。
(ただし、短期間で終了する対策が終了していなければ、審査は通らない。)

独立性の高い新組織として発足した原子力規制委員会は、
安全性の確保を最優先に高いハードルを設定する見通しである。

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