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京都議定書の「遵守制度

京都議定書においては、温室効果ガス削減の数値目標が定められており、
法的拘束力がある。

遵守制度」とは、多国間協定である議定書を守るための仕組みであり、
義務が履行されないときに対応する制度をいう。

遵守制度には大きく分けて
 ・目標達成に向けて支援を行う「促進的仕組み」
 ・義務が守られなかった際の「強制的仕組み」
がある。

遵守委員会

京都議定書の遵守手続は「遵守委員会」が行う。

順守委員会は、「促進部」と「履行強制部」の2つの部門で構成されており、
公平性の確保から、委員選出の地域割なども定められている。

目標達成のための遵守制度

先進国における議定書の数値目標達成のために
遵守委員会の「促進部」は、様々な支援を行うが、
約束期間終了後に数値目標が達成されていない場合は、「履行強制部」が以下を行う。
 ・守れなかった削減分の「3割増分」を、次期約束期間に余計に削減する義務を負わせる。
 ・「遵守行動計画」の策定を義務付ける。
 ・排出量取引の移転資格を、はく奪する。

また、数値目標「以外」の義務(排出目録などの国家通報の提出など)違反については、
「履行強制部」の決定により、京都メカニズムの参加資格をはく奪する。

国の報告、審査制度

各国は、排出目録、政策措置、排出予測等を報告する義務を負うが、
データの信頼性確保ために、条約事務局が選出する「専門家レビューチーム」が審査を行う。

排出目録(インベントリー)には、
6つの温室効果ガスの総排出量の推移、内訳、根拠を記さなければならない。
(燃料ごとの排出量、消費量、排出係数等)

法的拘束力と日本の立場

京都議定書に定められた数値目標には「法的拘束力」があり、
義務を達成できなかった場合は、「国際条約違反」ということになる。

ただし、目標未達の場合に「遵守委員会」が決定する内容には「法的拘束力はない」。

日本はこの議論の中で、遵守委員会の決定内容に「法的拘束力を持たせない」ように強く主張し、
各国は、日本に議定書を守る気がないのではないかという不信感を持つこととなった。

議論での大勢は、法的拘束力を持たせることに積極的であったが、日本の反対などで覆り、
議定書改正手続きが煩雑であるという理由により、拘束力なしとなったのである。

もっとも、数値目標自体には法的拘束力があるので
目標未達の場合は、未達分の3割増分を次期に削減することなどが義務付けられる。


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