原子力規制委員会

原子力規制委員会は、環境省の外局として、2012年6月に発足した

原子力規制委員会は、いわゆる「三条委員会」であり、
上部行政庁(環境大臣)の指揮監督を受けることなく
独立して権限を行使することが保証された合議制の機関である。

*三条委員会とは、国家行政組織法3条2項に基づいて設置される委員会のことであり、
 国家公安委員会、公正取引委員会、中央労働委員会、人権委員会などがある。
 「庁」と同格の独立性の高い組織であり、行政処分を行う権限を持つ。

原子力規制委員会の委員長は、内閣総理大臣が任命する。(両院の同意が必要)

委員長のほか、4名の委員で構成され、
事務局として「原子力規制庁」が置かれる。

刷新された原子力行政

原子力安全行政は、原子力安全委員会、原子力安全・保安院が担ってきた。

  • 原子力安全委員会
     …内閣府内に設置された審議会。
      原子力の安全確保のための指針整備、安全審査など
  • 原子力安全・保安院
     …資源エネルギー庁(経済産業省の外局)の特別機関
      設計・建設段階の原子力施設について、災害が防げるかの審査
      運転中の原子力発電所の保安審査
      原発の廃止措置計画の認可 など

しかし、福島第一原発事故は、原発の安全行政の不備や体質上の問題を露わにさせた。

国民から強い批判の声が上がった事故対応における安全・保安院職員の無責任で緊張感のない態度・行動、
「安全基準」なるものが安全を度外視して原発を造り続けるものにすぎなかったこと、
「安全・保安院」が、原子力を推進してきた経済産業省内に置かれ、
挙句の果てに電力会社に天下りをしているなどの組織上の問題・・・。

原発における事故がもたらす被害は
「想定外」という言葉で責任逃れができるレベルのものではない。

本当に多くの人々の犠牲の上に、行政組織の刷新が行われ、
原子力安全委員会と原子力安全保安院は廃止され、
原子力規制委員会」が独立性の高い第三者委員会として発足した。(2012年9月19日)

「原子力村」などと言われる産官学の巨大な利権グループは一定の解体が進み、
国民の生命・健康と国土を守るための原子力安全行政への転換が始まった。

今後、原子力規制委員会は、
原発敷地内の断層の評価など、安全基準を根底から見直す作業を開始する。

ただし、「原子力規制委員会の独立性」は形式だけで確保されるものではない。

様々な外部からの圧力を退け、独立性を確保し、国民の安全を確保するためには、
国民の側からの不断の監視がこれからも必要となる。