アマゾン開発

急激に進むアマゾンの熱帯林の減少。

ブラジル・アマゾン地帯では、毎年、東京都の面積の「10倍」を超える森林が消えている。

このペースで森林破壊が進めば、2050年にはアマゾンの40%の森林が消失してしまうといわれている。

アマゾンの熱帯林の破壊

アマゾン破壊と日本

アマゾン開発は、1970年に「土地なき人を人なき土地へ」のスローガンとともに開始され、100万人規模の移住計画が開始された。(世界銀行の融資)

1974年には、大カラジャス計画が、JICA(日本の独立行政法人「国際協力機構」)の融資により開始される。

大カラジャス計画は、
世界最大の埋蔵量180億トンといわれるカラジャス鉱山の開発と
これに伴う鉄道、道路網、工場建設、森林伐採、農業生産のための入植などの大規模な開発計画であり、その範囲は90万㎢に及ぶものであった。(日本の面積の2.4倍)

製鉄工場で使う燃料用木炭のために1万5000㎢もの自然林が伐採され、大量の入植者による焼き畑農業が行われた。

その後、多くの農地が生産性の低さから放棄されることとなり、
牧場主・移住者・先住民族の対立激化、暗殺などの頻発が社会問題化し、世界銀行は融資から撤退、
計画に深く関与し、融資を行ってきた日本の責任も問われることとなった。

また、日本の融資で建設されたトゥクルイダムは、琵琶湖ほどの面積を水没させ、
先住民族の生活の場、森林、野生動物の生息地を破壊したが
ダムで発電される電力の3分の2がアルミ精錬に使われ、
アルミの原料であるボーキサイトは日本に輸出されている。

アグリビジネスとアマゾンの未来

日本が深く関与したアマゾン開発は、様々な問題の発生により見直しが行われ、80年代以降は、環境保護と開発の両立が目指されて行く。

しかし、90年代に始まったブラジルの「経済自由化」「市場経済化」は
アグリビジネスのためのアマゾン開発として再び急拡大して行くことになる。

「自由化」により、穀物メジャーなど多国籍アグリビジネス企業がブラジルに本格参入し、
大豆や食肉の生産が急拡大している。

そして、
開発道路の建設 ⇒ 道路を利用した森林伐採 ⇒ 牧場開発 ⇒ 粗放経営による牧場放棄⇒ 大規模大豆栽培地への転換 ⇒ 大豆搬送用道路の建設
といったアマゾンの大規模破壊サイクルが進行している。

ブラジルの大豆生産額は、99年~06年の7年間で2.5倍に、
食肉生産額は3倍になり、
大豆生産は2012年度に米国を抜き去り、世界最大となる見通しだ。
(農産物「純」輸出額では、すでに世界にトップに立っている。)

外貨不足にあるブラジルは、
経済の根幹を穀物メジャーに抑えられ、
農家が外国資本に利益を吸い上げられるという矛盾を受け入れながら今後も、森林を伐採し農地開発を強力に進める方針。

エタノール需要に対応するためのトウモロコシ生産地も急拡大しており、
植林による再生への努力は全く追いつかず、
アマゾンが破壊され続ける状況は今後も拡大して行く状況にある。